システム設計
エレクトロモビリティ用の高機能パワーエレクトロニクスシステム
エレクトロモビリティ用のセミクロン製パワーエレクトロニクスシステム
セミクロンは、ほぼ20年にわたり、車両用途向け高性能パワーエレクトロニクスシステムをお客様にご提供しており、これらの市場における長年の経験があります。最初は、カスタムパッケージにパワーチップとゲートドライバーを組み込んだものが、更なる高性能化へと進展し、現在では制御回路にベクトル制御のソフトウェアも組み込まれています。現在までに、合計50万以上の高性能フォークリフトインバータシステムが、セミクロンで製造されています。以下に、過去20年間に顧客に出荷されてきた、セミクロン製車両向けパワーエレクトロニクスシステム製品の年表を示します。
車両用途のパワーエレクトロニクスシステムへの要件
自在性と高効率のパワーエレクトロニクスは、エレクトロモビリティの成功の鍵を握る要件です。最大パワー密度を確保するには、電力損失と熱抵抗を最小限に抑え、低価格と高効率性を両立させつつ多機能・高性能を実現することが求められます。欧州EMC指令で定められたEMCの要件を厳守する必要があります。車両内のマスターコントローラーに接続するインターフェースは、様々な条件に適応する十分な自在性が必要です。第2世代の3相ブリッジIGBTのインバータSKAI2HV(上記参照)は、定格効率98%以上でパワー密度20kVA/lを達成しています。
SKAI – パワーエレクトロニクス機能ブロック
全てのSKAIパワーエレクトロニクスシステムは、以下に示す同じアーキテクチャ原理に基づいています。これらすべてのシステムの中核となるパワー部は、半導体スイッチ、DCリンクコンデンサバンク、出力電流センサー、DCリンク電圧センサー、セラミック基板上の温度センサー、EMIフィルタと、必要に応じてその他の受動部品で構成されます。システムは、ゲートドライバー、過電流・過電圧・過熱に対する保護機能、内部で必要な絶縁された電源とDSPコントローラーから構成されます。
セミクロンのSKAI製品ファミリーのコンバータはすでに第2世代です。SKAIによる車両のパワーシステムは、高性能で大きな利点を提供します。これらは、最新規格に従って開発され、開発期間の短縮と、開発コストの削減に寄与します。SKAIシステムは、低圧MOSFETまたは高圧IGBTのシリコンデバイスを搭載した標準プラットフォームとして供給されます。SKAIシステムは、個別にカスタム仕様に合わせて設計することも可能です。
オプションの制御ソフトウェアSKAIwareTM
車両内の制御ユニットとマスターコントローラー間のインターフェースは、CANバスインターフェースあるいはスイッチング信号インターフェースのいずれかになります。また、オプションとして、ベクトル制御に基づくモータ制御ソフトウェアSKAIwareTMも利用できます。SKAIwareTMは、幅広い弱め界磁範囲において安定した電気モータ制御を実現し、優れた効率の駆動性能と発電性能を可能にします。SKAIwareTMは、通常、CAN経由でセントラルコントローラーからの入力を受信し、速度またはトルクに正確に変換します。
MISRA-C規格に適合した形で開発され、SKAIハードウェアに適用されたSKAIwareTMソフトウェアソリューションは、DCブラシレス、埋め込み構造永久磁石、表面磁石型永久磁石同期モータや3相インダクションモータを制御する目的で設計されています。このソフトウェアでは、様々なタイプのモータのパラメーターを選択できます。SKAIwareTMは、モータとインバータ内の温度モニタリング、バッテリー過充電保護、DCリンク電圧過電圧保護、CANOpen準拠のCAN通信、車両ネットワーク内のCANブートローダー経由のソフトウェア更新などに対応しています。また、要望に応じて、ユーザーは独自の制御ソフトウェアを選ぶことができます。さらに、コントローラーハードウェアも、カスタム要件に対応可能です。
デザイン・インサービス
信頼性に優れたエレクトロニクス部品またはメカトロニクス部品を設計する場合、動作条件を正確に把握し、経年劣化や故障メカニズムによる影響を考慮することが重要です。動作領域での極端な温度変動、その継続時間が主な影響となります(「ミッションプロファイル」)。また、温度変動の頻度や変動幅、熱勾配や冷却能力だけでなく、機械的応力、化学物質、湿度やほこりなどの影響も考えられます。セミクロンは、パワーエレクトロニクスのユーザーをサポートします。
必要な出力電力プロファイルに基づき、全体の動作寿命と、寿命への過負荷変動の影響を判断します。この詳細データがあれば、モータ制御を簡単に最適化できます。トータルソリューションを設計する場合、セミクロンでは、有能なパートナーと共同で計算サービスの提供が可能です。これに必要なデータは、所要のトルク特性と速度特性のみです。 さらに、セミクロンでは、お客様それぞれのモータ駆動に適応させるため、汎用SKAIwareTMモータ制御ソフトウェアをパラメーター化してします。納品前に、お客様独自の制御ソフトウェアをアップロードすることも可能です。